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2012年5月11日 (金)

聖母マリア頌歌集

5月19日のプログラム解説を書くために調べていたら深入りしてしまって字数オーバー!
もったいないのでこちらのブログに書きます。

いしにえの調べ - 聖母マリア頌歌集

 13世紀のスペイン、カスティーリャ=レオン王国の王アルフォンソ10世は外政的には
失敗が多かったが、文芸面には秀で「賢王(El sabio)」と讃えられていました。
彼が生きた時代のスペインはレコンキスタ(イスラムからの国土再征服)の完遂目前でしたが、
イスラム文化はスペイン各地にその痕跡を留めていました。
その当時のイスラム文化は世界最高レベルにあり、トレドの図書館には古代ギリシャ、
エジプト文化の本も数多くアラビア語翻訳されて保管されていました。ケン・フォレットの名作
「大聖堂」にも12世紀末にトレドでユークリッド幾何学を学ぶ主人公の姿が描かれています。
 おなじくトレドに生まれたアルフォンソは、後年その地にアラビア語の書物をラテン語に
翻訳する研究所を作りました。そのラテン語翻訳書が後の西洋ルネサンス文化の礎と
なったのです。
 さて、そのアルフォンソ王は幾つもの叢書(『七部法典』『宝石の書』『イスパニア大年代記』
『大世界史』『アルフォンソ天文表』等々)を編纂しましたが、その中でも聖母マリアを讃えて
編纂した400曲あまりからなる「聖母マリア頌歌集」は、彼が最も力を注いだ集成と
言われています。頌め歌は、第10番,20番,30番…というように10曲単位に配置され、
そのほかはすべて聖母マリアが信者たちの為に行った一連の奇跡を述べる物語詩が
ネウマ譜で書かれた単旋律と共に記されています。
マドリード近郊にあるエスコリアル宮に存在する二冊の写本には当時の衣装や建築、
道具器具などが描かれた貴重な細密画も挿し込まれています。様々な楽器を持った楽師たちを
描いたものも多数あり、中世の楽器を知る上ではこの上ない資料です。

その一部ですが、下記動画で見ることができます。

 このように「聖母マリア頌歌集」は中世音楽のまさに宝庫です。原典は単旋律なので
発想次第ではどのようにも演奏でき、事実 Cantigas de Santa Maria でCD検索すれば
夥しい数がヒットします。
 この集成がギターの世界で知られるようになったのは、故芳志戸幹雄氏の個性的な
ギター編曲によるものです。
私は全音からでていた小川和隆氏の平易な編曲を使っています。

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